松くい虫による松枯れの進行、温暖化による寒切り期間の短縮、材木の割れや狂いを嫌う、極限までの含水率低下の義務付け、円高によって低価格となった米松やホワイトウッドやスプルース集成材などの台頭、そして何より手刻み加工からプレカット加工が主流となった今現在、国産松の需要は激減しました。
新築住宅に対する瑕疵担保期間(10年間)の義務化により材木の割れや狂いを嫌がる傾向が随所にみられ、建築用材として含水率20%以下が当たり前のように求められる時代になりました。人工乾燥は天然乾燥に比べ短期間で材木を乾燥できる大きな利点があります。これにより、本来なら数年以上乾燥させる期間を大幅に短縮させて出荷することができます。また、在庫として長期間管理しなくてもよいことや、原木がすぐに製品として納材できることによる経営面での売上確保の利点も挙げられます。(原木から製材して数年後に自然乾燥させた製品をもう一度製材し直して安価で販売すると経営が成り立たない)
2016年現状では無垢材の流通80〜90%が人工乾燥材(機械乾燥KD材)であるといわれています。
木は植物なので生き物であり、繊維があります。材木はその繊維が縦方向に強く並んでおり、これがその強度の性質を決めるのです。
少しの狂い防止のために、そして乾燥期間短縮のために、薄利多売にするために、わざわざ木材の価値を下げて、機械で大量のCO2を排出しながら、無理やり水分を飛ばして、木の繊維を殺し、木を知らない施主様の一般住宅用材や社寺仏閣用材に堂々と人工乾燥材(機械乾燥KD材)を使用して本当にお客様のためになっているんでしょうか?
2016年現在、国内で生き残った数少ない自然乾燥材(AD材)専門の国産材製材業者としてこだわりのお客様が望まれる地松の完全天然乾燥材の供給にこだわり続けます。
地松はマツ類特有の辺材を青色にする青変菌やブルーステインなど、微生物の作用によって様々な変色を引き起こす菌が存在するため、品質管理がとても難しい樹種に挙げられます。
材木の辺材部分には水分も養分も多いため腐朽以外にも、シロアリやキクイムシのような様々な虫の食害を受けやすいのです。
国産アカマツに関しては不思議なことに産地、土壌によって辺材部分を占める割合が大きく変わってきます。
辺材が多く心材(赤身)が少ない松はどうしても腐朽しやすいので、弊社では赤身勝で自然乾燥させている地松をおすすめさせていただいております。
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